電動モビリティ (EV/FCV) | バッテリー・駆動システム向けプラズマ処理
電気自動車 (EV) および燃料電池車 (FCV) といった電動モビリティのさらなる普及は、いまや自動車業界における重要課題であり、世界の大手自動車メーカーや電子機器サプライヤーは先進的な駆動・蓄電システムの開発に注力しています。
特に、高効率な電動モーターや、軽量かつ高性能なエネルギー貯蔵システム (バッテリー・燃料電池) の開発が成功の鍵を握ります。
このような高性能システムの実現には、新しい複合材料を用いた部品開発が不可欠であり、さらにその材料表面を選択的に機能化する技術が求められます。
プラズマトリートのOpenair-Plasma®(オープンエアープラズマ)による大気圧プラズマ表面活性化技術と、 PlasmaPlus®(プラズマプラス) による機能性コーティング を組み合わせることで、高い効果を発揮します。
Openair-Plasma®大気圧プラズマ技術は、適用の容易さと幅広い応用可能性に加え、機能性コーティングによって材料に新たな特性を付与できるため、先端技術の実現に最適な表面処理技術です。
高性能バッテリーのプラズマ活性化:インラインプロセスで確実な接合・シーリングを実現
高性能バッテリーシステムは、相互に接続された複数のバッテリーセルを積層し、共通の筐体に収める構成をとることが一般的です。
セルスタックや筐体のコーティング、接合、シーリングの工程には、無極性で耐薬品性を有するエンジニアプラスチックなどの材料が使用されることが多く、表面の前処理が課題となっていました。
大気圧プラズマ技術 Openair-Plasma®を前処理に活用することで、従来は困難だった非極性プラスチックや複合材料の表面を効率的に改質できます。
このプラズマ活性化により、バッテリー筐体の接合・シーリングを確実に行うための条件を整えることが可能です。
さらに、この技術はインラインプロセスに容易に組み込めるため、真空チャンバーなどの特別な設備を必要とせず、効率的な工程設計が可能です。
こうした特長により、Openair-Plasma®技術は、高速プロセスを用いたバッテリーの大量生産における前処理の完全自動化に大きく貢献します。
電気絶縁性・親水性・疎水性を付与するナノコーティングで、堅牢かつ高信頼な燃料電池を実現
燃料電池は電動モビリティ (EV/FCV) 分野で最も開発が進んだ有望技術であり、船舶、潜水艦、特殊車両や研究用航空機などで既に実用化されています。
しかし、自動車業界においては、燃料電池技術はまだ画期的な進展には至っていません。
品質と安全性を高めるには、使用材料のコスト削減と動作環境の拡大が依然として重要な課題です。
特に大きな課題のひとつが、低温環境での稼働です。
水素と酸素をエネルギーに変換する過程では必ず水が発生しますが、極寒条件ではこの水を安全に外部へ排出する必要があります。そうすることで、凍結による複雑なバイポーラプレートの破損を防ぐことができます。
フォーミングガスプラズマによる燃料電池・バッテリー接点の安全な洗浄
Openair-Plasma®システム では通常、アシストガスとして圧縮空気を使用します。
しかし、表面から酸化層を除去する必要がある場合は、アシストガスを機能性成分を含む混合ガスに置き換えることで、効果的に処理できます。窒素と水素を混合したフォーミングガスは、このようなプラズマ洗浄に特に適しており、水素は爆発の危険がない5%以下の濃度で安全に供給されます。
このフォーミングガスによって生成されるプラズマは、通常のOpenair-Plasma®とは大きく異なる特性を示します。
材料表面に酸素を取り込むのではなく、プラズマ処理によって酸素を確実に除去します。そのため、酸化が進んだ銅表面であっても短時間で酸化層を取り除くことが可能です。
このプラズマ洗浄により、接点を安全かつ確実に洗浄でき、燃料電池やバッテリーに不可欠な、信頼性と再現性に優れたはんだ付けやコーティング工程の実現に貢献します。