ヘッドライト|高密閉性・高接着性を実現するOpenair-Plasma®技術

LED技術を採用した現代のヘッドライトは、車両の耐用年数に匹敵する耐久性を備えているため、従来のように電球交換の必要がありません。
ただし、この耐用性を確保するためには、湿気の侵入を防ぐことが不可欠です。

そのため、ポリプロピレン (PP) やポリカーボネート (PC) 製のヘッドライトやテールライトを接着する際には、温度変化などの過酷な環境下でも安定した高い接着力と優れた密閉性能の両立が求められます。

しかし、こうした材料は本来、接着しにくい性質を持っています。
この課題を解決するのが、プラズマトリートのOpenair-Plasma®(オープンエアープラズマ) 技術です。
この技術による局所的な精密前処理は、難接着材料を効果的に活性化し、ヘッドライトの信頼性の高い接着と長期的なシーリングを実現します。

このページのトピック

特長と利点 インライン統合 ホットメルト接着剤

超微細洗浄 低圧コーティング ハウジングの曇り防止 

David Byrne氏

HELLAオーストラリア社 組立主任エンジニア

高レベルのプラズマ活性化と、精度の高いモニタリング機能および故障診断により、常に高品質な製品を安定して生産できています。

- David Byrne氏, HELLAオーストラリア社 組立主任エンジニア

Openair-Plasma®を用いたヘッドライトの前処理は、プラズマ技術の産業応用の中でも代表的な成功事例のひとつです。
現在では、この技術はヘッドライト製造に不可欠な存在となっており、主要なヘッドライトメーカーでも広く採用されています。

Openair-Plasma®処理のメリット:

処理表面に熱ダメージを与えず、効率的に均質な表面活性化を実現

筐体への変形やダメージがない。金属化プラスチック表面も均質に活性化

Plasma jet pretreating headlamp

接着性強化により接着剤の減量が可能

Plasma treatment of a headlamp

接合面全体の前処理(溝の底面・壁面を含む)

コンサルティングと資料

当社のOpenair-Plasma®テクノロジーが、お客様のプロセスをどのように最適化できるかをご紹介いたします。

アイデア段階から導入後まで、お客様のニーズに合わせた柔軟なサポートを提供し、プロセスの安定運用を維持できるよう支援いたします。

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生産ラインへの統合が容易なプラズマ技術—コロナ処理・フレーム処理の代替技術として

ロボット制御によるインライン技術により、Openair-Plasma®プロセスはヘッドライト生産ラインにもスムーズに統合できます。

Openair-Plasma®の特長は、コロナ処理のように処理表面が放電にさらされない点にあります。
さらに、プラズマ前処理ではフレーム処理とは異なり、材料の温度上昇はごくわずかです。
また、低圧プラズマ処理に必要な真空チャンバーも不要で、オープンなインライン処理が可能です。
加えて、Openair-Plasma®は電位を持たないため、デリケートで導電性のあるリフレクターも事前に組み立てた状態で安全に処理できます。

 

HELLA社での活用事例:ヘッドライトハウジングの表面処理

HELLA社のオーストラリア拠点では、複雑な形状のヘッドライトハウジングに対して、接着前にOpenair-Plasma®による表面処理を実施しています。
輪郭を高精度で追従するロボット制御のインライン処理により、接着工程における前処理を高速かつ安定して行うことができます。

 

プラズマ前処理によるホットメルト接着剤の接着性向上

Openair-Plasma®プロセスにより、ポリプロピレンなどの無極性プラスチック (無極性高分子) に対して、新開発の一液系ホットメルトポリウレタン (PUR) 接着剤を用いた信頼性の高い接着が初めて可能になりました。
Openair-Plasma®による前処理によって材料表面が活性化され、表面自由エネルギーが十分なレベルまで引き上げられます。これにより、強固かつ信頼性の高い接着が実現します。

Openair-Plasma®とホットメルト接着剤を組み合わせたこの技術は、接着剤メーカーであるSika社との協業により開発されました。

 

特長と利点

ホットメルト接着剤

  • 高い初期接着強度
  • インラインでの高速漏洩試験
  • 生産性の向上 (15%以上) 

この分野における興味深い成功例

ポリカーボネート (PC) 製ヘッドライトカバーの超微細洗浄とコーティング

ヘッドライトを砂利などによる飛び石から保護するためには、ポリカーボネート (PC) やアクリル (PMMA) 製のレンズに高い表面硬度が必要です。
そのため、ヘッドライト表面には、アクリルポリマーを主成分とした耐傷性のある紫外線 (UV) 硬化型塗料でコーティングするのが一般的です。
この保護コーティングにより、未処理のレンズと比べて最大40倍の耐衝撃性が得られます。

Openair-Plasma®による仕上げ塗装前の超微細洗浄

Openair-Plasma®の回転ノズルでカバーの仕上げ塗装前に超微細洗浄すると、表面状態が大幅に改善され、ポリカーボネート製ヘッドライトの生産性が向上します。

射出成形後の材料面には、顔料や微細な粒子が残留することがあります。
プラズマによる洗浄処理は、こうした付着物を除去できるだけでなく、レンズ表面の静電気も確実に除去するため、従来必要だったイオナイザーなどの静電気除去装置が不要になります。

また、プラズマ洗浄によって均一な表面自由エネルギーが得られることで、次工程のコーティングのが均一に塗布され、膜厚も安定します。これにより、不良率の大幅な低減が可能になります。

低圧プラズマ処理による、長期耐用傷防止コーティング

 

ハードコート (硬質コーティング) に代わる手法として、耐傷性と耐久性に優れたプラズマコーティングをレンズに施すことができます。
このプラズマコーティングは、チャンバー内で行う低圧プラズマプロセスによって施され、ポリカーボネート素材に対するハードコート層の耐久性を向上させます。
これは、低圧プラズマ処理により材料表面に官能基が形成され、より高い架橋構造を持つコーティングが実現されるためです。

プラズマトリートの低圧プラズマ技術では、一般的な材料の表面硬度を最大100倍まで向上させることが確認されています。

特長と性能

プラズマコーティング

  • ナノレベルのコーティング
  • 優れた光学特性
  • 高い安定性
  • 優れた耐久性
  • クリーニングが容易
  • ガラスの数倍に相当する高い表面硬度

LED化に伴う問題—ヘッドライトハウジングの曇り

LEDを採用した自動車ヘッドライトの場合、ハウジング内の発熱が少なくなります。
これにはいくつかのメリットがある反面、ハウジング内の湿度にも影響が及び、曇りや結露の原因になることもあります。
曇りが生じると透過する光が屈折しやすくなり、ヘッドライトの照射性能に悪影響を及ぼすおそれがあります。

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