ヘッドライト|高密閉性・高接着性を実現するOpenair-Plasma®技術
LED技術を採用した現代のヘッドライトは、車両の耐用年数に匹敵する耐久性を備えているため、従来のように電球交換の必要がありません。
ただし、この耐用性を確保するためには、湿気の侵入を防ぐことが不可欠です。
そのため、ポリプロピレン (PP) やポリカーボネート (PC) 製のヘッドライトやテールライトを接着する際には、温度変化などの過酷な環境下でも安定した高い接着力と優れた密閉性能の両立が求められます。
しかし、こうした材料は本来、接着しにくい性質を持っています。
この課題を解決するのが、プラズマトリートのOpenair-Plasma®(オープンエアープラズマ) 技術です。
この技術による局所的な精密前処理は、難接着材料を効果的に活性化し、ヘッドライトの信頼性の高い接着と長期的なシーリングを実現します。
このページのトピック:
生産ラインへの統合が容易なプラズマ技術—コロナ処理・フレーム処理の代替技術として
ロボット制御によるインライン技術により、Openair-Plasma®プロセスはヘッドライト生産ラインにもスムーズに統合できます。
Openair-Plasma®の特長は、コロナ処理のように処理表面が放電にさらされない点にあります。
さらに、プラズマ前処理ではフレーム処理とは異なり、材料の温度上昇はごくわずかです。
また、低圧プラズマ処理に必要な真空チャンバーも不要で、オープンなインライン処理が可能です。
加えて、Openair-Plasma®は電位を持たないため、デリケートで導電性のあるリフレクターも事前に組み立てた状態で安全に処理できます。
HELLA社での活用事例:ヘッドライトハウジングの表面処理
HELLA社のオーストラリア拠点では、複雑な形状のヘッドライトハウジングに対して、接着前にOpenair-Plasma®による表面処理を実施しています。
輪郭を高精度で追従するロボット制御のインライン処理により、接着工程における前処理を高速かつ安定して行うことができます。
プラズマ前処理によるホットメルト接着剤の接着性向上
Openair-Plasma®プロセスにより、ポリプロピレンなどの無極性プラスチック (無極性高分子) に対して、新開発の一液系ホットメルトポリウレタン (PUR) 接着剤を用いた信頼性の高い接着が初めて可能になりました。
Openair-Plasma®による前処理によって材料表面が活性化され、表面自由エネルギーが十分なレベルまで引き上げられます。これにより、強固かつ信頼性の高い接着が実現します。
Openair-Plasma®とホットメルト接着剤を組み合わせたこの技術は、接着剤メーカーであるSika社との協業により開発されました。
Openair-Plasma®による仕上げ塗装前の超微細洗浄
Openair-Plasma®の回転ノズルでカバーの仕上げ塗装前に超微細洗浄すると、表面状態が大幅に改善され、ポリカーボネート製ヘッドライトの生産性が向上します。
射出成形後の材料面には、顔料や微細な粒子が残留することがあります。
プラズマによる洗浄処理は、こうした付着物を除去できるだけでなく、レンズ表面の静電気も確実に除去するため、従来必要だったイオナイザーなどの静電気除去装置が不要になります。
また、プラズマ洗浄によって均一な表面自由エネルギーが得られることで、次工程のコーティングのが均一に塗布され、膜厚も安定します。これにより、不良率の大幅な低減が可能になります。