パワートレイン/エンジン用電子部品 | 耐久性・耐腐食性に優れた接着封止技術
最新型自動車 に求められる性能は着実に高まっています。快適で安全な走行に対する期待に応えるため、車両にはより多くの電子機器が搭載されるようになりました。
近年では、分散配置されたセンサーやアクチュエーターに高度な電子回路が統合される傾向が強まっています。電子回路の複雑化に伴い、コンポーネントを確実に封止し、水分や湿気による腐食から保護する技術の重要性が増しています。
パワートレイン分野でも、長期にわたる安定したシーリング性能が不可欠です。特にエンジンオイルの漏洩防止において、大きな役割を果たします。
このページのトピック:
プラズマ洗浄と選択的コーティング 大気圧プラズマによる活性化 プラズマ重合
長期的なシーリング性能を実現するプラズマクリーニングと選択的コーティング

シーリングの品質は、接触面の清浄度に大きく左右されます。
こうした重要な領域では、高精度なOpenair-Plasma®(オープンエアープラズマ) クリーニングが高精度に機能します。形状に忠実な処理により、接触面を選択的かつ効率的に洗浄し、封止に最適な前処理を実現します。
特に接合部のシーリングに高い耐久性と耐腐食性が求められる用途では、プラズマトリートが開発したPlasmaPlus®(プラズマプラス) が有効です。
このプラズマポリマーコーティングでは、コーティング膜の前駆体 (プリカーサー) をプラズマに添加し、耐腐食性に優れたシーリングを形成します。
低圧プラズマによる複雑な形状の電子機器ハウジングの前処理
複雑な形状を持つ電子機器筐体では、シーリング面を選択的に自動処理することが課題となる場合があります。
こうしたケースでは、Aurora®低圧プラズマによるコーティングが有効な解決策となります。低圧プラズマチャンバー内では、多様な部品を短時間のサイクルで洗浄・コーティングできます。
このプラズマコーティングは高い耐腐食性能を発揮し、特にアルミニウムやマグネシウム合金製の筐体で問題となる水分の侵入を防止します。追加の化学処理や塗装は通常必要ありません。
さらに低圧プラズマでは、防錆コーティングに加えて、接着強化、撥水性 (疎水性)・撥油性などの機能性コーティングも実現できます。これらは、スチールとエラストマーを長期的に接合する場合や、シールやフィルターを浸透から保護する用途に有効です。
プラズマポリマーコーティングによる接合面の腐食防止
水分の浸透による腐食クリープは、接着剤やシーリング材の接合部でよく見られる現象です。
接着剤やシーリング材が十分な接着力を発揮しても、基材自体が酸化による劣化を受けるリスクを完全に排除することはできません。
プラズマトリートは、ドイツのフラウンホーファー生産技術・先進材料研究所 (IFAM) と共同で、大気圧プラズマコーティング技術 PlasmaPlus® を開発しました。
この技術は、プラズマ技術を活用して基材にコーティングを施すことで、接合部の腐食から基材を効果的に保護します。
このシリカ有機コーティングはナノレベルの薄膜でありながら、長期的な防食機能を発揮します。
業界では実用化されて以来、電動油圧式パワーステアリングシステム (EHPS) の製造に広く活用されています。
プラズマポリマーコーティングを施した部品は、未処理部品と比較して環境要因への耐性が大幅に向上しています。
自動車センサー用ホットメルト、シリコーンポッティングおよびカプセル化 ー Openair-Plasma® 大気圧プラズマ活性化による確実な保護
スマート制御システムは、センサーを通じて周辺環境と連携して動作します。こうした精密電子機器は、あらゆる環境要因の影響を防ぐ必要があり、中でも腐食を引き起こす水分からの保護が欠かせません。
そのため業界では、ホットメルトやシリコーンによるポッティングやカプセル化によって部品を絶縁・封止する方法が一般的に用いられています。
Openair-Plasma®によって電子部品やケーブル被覆を前処理 (プラズマ活性化) することで、封止材の密着性が高まり、デバイス全体を信頼性の高いシールで保護できます。
撥油性プラズマコーティングにより、オイルフィルター内のオイル蓄積を抑制

オイルフィルターのろ材には通常、ポリアミド(ナイロン)とPET繊維の複合繊維が使用されています。フィルターが目詰まりによるエンジンの損傷を避けるため、フィルターは定期的に交換しなければなりません。また、フィルターに目詰まりがあると、エンジン出力の低下にもつながり、燃料消費量が増加します。
フィルターマトリクス(ろ材)内の撥油性表面は、フィルター内へのオイル蓄積を抑制することでオイルフィルターの寿命を延ばす効果があります。Auroraは低圧プラズマをフィルターマトリクスの隙間に深く浸透させられるため、撥油性コーティングの蒸着に特に適しています。
シーリング部品向け機能性プラズマコーティング

素材にNBR、FKM、FPM、EPDM、Viton、シリコーンなどのエラストマーを使用して製造された、Oリングや同様のシーリング部品(シャフトシールや止め輪など)は、多岐にわたる自動車用途で導入されており、
ショックアブソーバー、エンジン、トランスミッション、ブレーキシステム、エアコンユニット、ディーゼル噴射ポンプなどが用途例に挙げられます。これらのエラストマー部品が最適な性能を発揮させられるよう、固着防止にコーティングを施し、油脂に対する耐性を持たせる必要があります。
低圧プラズマによるフッ素コーティング
低圧プラズマプロセスを用いることで、Oリングなどの部品に四フッ化炭素(CF4)や六フッ化硫黄(SF6)といったフッ素ガスコーティングを施すことができます。通常の条件下では、これらのガスは非常に安定しているので、他の物質と反応が起きることはありません。しかしプラズマにさらされるとフッ素結合が切断が起きて反応性の高いフッ素ラジカルが生成され、最適な表面特性をもたします。これにより、Oリング本体の特性である弾性を維持しつつ、ガソリンなどの流体の浸透から基材を保護するバリア層を形成できます。別の例として、摩擦や粘着を低減するPTFEコーティングやポリシロキサンコーティングがあります。
化学接着促進剤に代わる環境にやさしい代替技術として、プラズマ技術Auroraがこれらのガスケットの製造をサポート
スチール材やエラストマー材の確実な接合と安定性および耐久性の向上のために、金属部品の表面には、低圧プラズマチャンバー内で接着促進層を付与するナノコーティングが施されます。この低圧プラズマ技術は、効果的かつ均質なコーティングを実現すると同時に、大量処理を可能にします。
高温(HT)用ガスケットへの超疎水性非粘着コーティング
この技術にはもうひとつ別の用途があります。特にフッ素樹脂化学を用いた非粘着コーティングです。非粘着コーティングは、ガスケットによる部品への付着を防ぐ効果があります。非粘着コーティングされたガスケットは、老朽化しても部品から簡単に取り外せます。