自動車外装部品|繊維を含む複合材料への洗浄・表面活性化技術
自動車外装部品は、金属テーラードブランクからシート成形コンパウンド (SMC)、ガラス繊維強化プラスチック (GFRP)、ハイブリッドプラスチックに至るまで、さまざまな材料の複雑な組み合わせで構成されています。
これらの材料表面はそれぞれ異なる特性を持つため、接着や塗装などの工程の前には適切な前処理が欠かせません。
プラズマ前処理 は、複合材料の確実かつ安定した接着・密着を可能にし、高品質な表面仕上げを実現するための重要な技術です。さらに、この技術は経済性と環境適合性の両面から、今後ますます求められていく技術です。
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防汚ナノコーティング表面への接着
最新の撥水性 (ロータス効果) ナノコーティングや超疎水性トップコートなどは、外装部品の表面に高い防汚性を付与します。
しかしその一方で、表面エネルギーが非常に低く、接着しにくいという課題があります。
こうしたコーティングに対応できる接着剤が各メーカーから提供されていますが、使用条件 (温度・湿度) の範囲が狭く、オープンタイム (接着可能時間) も限られています。
Openair-Plasma®による前処理を行うことで、疎水性や非極性のコーティング表面を効率的かつ選択的に活性化し、長期にわたり安定した接着を可能にします。
このシンプルな方法を利用すれば、オープンタイムが比較的長いVOC (揮発性有機化合物) フリー接着剤でも安定した結果を実現でき、ドアシール、トリムストリップ、エンブレムなどの接着も長期間にわたり信頼性を維持します。
Openair-Plasma®による補修塗装 – クリアコートへの確実な密着性
自動車ボディの塗装は、電着塗装 (eコート)、プライマー、ベースコート、クリアコートといった複数の層で構成されています。
しかし、塗装不良やパーティクル混入が生じた場合には、マスキング、研磨、再塗装といった手間のかかる補修作業が必要となり、特に最上層のクリアコート (トップコート) は表面エネルギーが低いため、新しい補修塗膜を確実に密着させるには前処理が不可欠です。
選択的なプラズマ前処理を用いれば、車両全体を再処理することなく、経済的かつ効率的に補修補修を行うことできます。
プラズマトリート のOpenair-Plasma®プロセスは、局所的な補修塗装だけでなく、車両全体の塗装前処理にも活用できます。さらに真空チャンバーを必要としないため、既存の生産ラインにも容易に統合できます。
ポリアミド (ケブラー®メッシュなど) を用いた自動車タイヤの補強
自動車のタイヤはトレッドと骨格で構成され、製造には200種類以上の材料が使用されています。
その中には、オイル、スチール、硫黄化合物、ケブラー®、ポリエステル、アラミド、亜鉛、樹脂、シリカ、そして約80種ものぐれーどのゴムが含まれます。
タイヤの速度性能やハンドリングを向上させるため、トレッドはケブラー®(アラミド) で補強されています。タイヤが走行中の強い遠心力に耐えるためには、トレッド材とケブラー®メッシュの確実な接着が極めて重要です。
量産工程においては、この接着を促進するために、アラミドメッシュを濃硫酸で前処理する方法が用いられています。