プラズマ技術で実現する高性能と長期信頼性

プラスチック業界のメーカー各社は、コスト削減と資源の有効活用という課題に直面しています。しかし、低コスト樹脂やリサイクルプラスチックは、その表面構造や組成に由来する特有の課題を抱えています。適切な前処理を行わなければ、最終製品の品質や耐久性が大きく損なわれてしまいます。
ドイツ・デュッセルドルフで開催される国際プラスチック展示会「K 2025」では、Plasmatreat GmbHがこれらの課題を解決する技術を紹介します。
「高性能と長期耐久性を可能にする表面処理技術」をテーマに、大気圧プラズマを活用した実用的なソリューションをホール11・ブースI65にて展示します。展示内容は、自動車分野でのPUR (ポリウレタン) インモールドコーティングから、スポーツ分野における新しい材料の組み合わせまで多岐にわたります。
低コスト樹脂やリサイクルプラスチックは、その表面特性のため工業的な加工がとりわけ難しい素材です。こうしたプラスチックの表面は濡れにくく、接着剤や塗料、コーティング材などが安定して密着しにくいという課題があります。このような条件下では、構造接着や高い耐久性、効率性といった要求を満たすことは容易ではありません。
こうした課題に対し、Plasmatreat GmbHは解決策を提供します。ドイツ・シュタインハーゲンに本社を構える同社は、大気圧プラズマを用いた産業用表面前処理システムを30年以上にわたり開発してきました。 Openair-Plasma®(オープンエアープラズマ) 技術により、化学薬品や溶剤を使わずに、信頼性が高く効率的で環境に配慮した製造プロセスを実現できます。K 2025では、実用的で持続可能な応用例を紹介し、来場者の皆さまにプラズマ技術を直接ご体感いただけます。

PURインモールドコーティング: プラズマによる接着性向上
自動車業界では、PC+ABSのようなエンジニアリングプラスチックに替わって、ポリプロピレン (PP) といった汎用樹脂の活用が広がっています。しかし、PPは非極性のためPURシステムが密着しにくいことが課題となっています。
プラズマトリートは、PP部品の射出成形後、PURインモールドコーティング工程の前にOpenair-Plasma®を適用する方法を紹介します。新開発の幅広プラズマノズルにより、フードなどの射出成形部品全体を短時間で前処理できます。表面粗さによる物理的な結合に加え、活性化された PP表面は PURコーティングシステムと化学的に結合します。これにより、PURコーティングに適した表面状態が得られ、必要な接着特性に応じた仕上げが可能となります。
Openair-Plasma®はインラインで自動化・ロボット制御が可能なため、大面積や選択的な処理にも対応できる効率的な前処理技術です。再現性の高いプロセスにより品質を向上させ、従来の火炎処理や溶剤系プライマーといった環境負荷の大きいプロセスに代わる技術となります。K 2025では、プラズマトリートはパートナー企業 Neue Materialien Bayreuth 社と共に、この新しいプロセスを産業界に広める取り組みを紹介します。
新たな製品・用途への応用
Openair-Plasma®の活用例として、リサイクルプラスチックを前処理し、UVインクによる印刷を可能にするプロセスがあります。 プラズマトリートはパートナー企業 Tampoprint GmbH 社と共に、廃漁網をリサイクルしたプラスチック製品に、VOCフリーで長期耐久性のある印刷を行う技術を紹介します。さらに、PEと PA6、TPUとPPといった従来は接着が難しかった樹脂を、プラズマ活性化によって接着可能にする技術も展示します。会場では、プラズマ処理の効果を示す各種テストを実際にご覧いただけます。

プラズマトリートは、EPDM や窓枠プロファイル向けの最新プラズマシステムも展示します。プロファイル製造のインライン工程で、高精度かつ再現性の高い前処理を行います。これにより、後工程の印刷・フロッキング・接着に最適な表面特性を、効率的かつ環境にやさしい方法で実現できます。
ブースでは、ゴルフボール、フリスビー、スキー、スポーツ用ホイール、パドル、ラケットなどスポーツ用品への応用事例も展示します。プラズマ処理により製造効率が向上し、製品性能も高まります。その代表例が、スイスのゴルフボールメーカー Chip-Ing 社 での活用です。同社は追跡可能なゴルフボールの世界的リーディングカンパニーであり、Openair-Plasma®の採用により性能を高めるとともに、紛失ボールの回収によって自然界でのプラスチック廃棄削減にも貢献しています。プラズマトリートのプラズマ技術は塗装や印刷の前処理に用いられ、高い再現性を持ち、インラインでの運用が可能です。また、プラズマトリートのカスタマーサポートや迅速な対応力も、Chip-Ing 社から高く評価されています。
環境にやさしい前処理 ー プラズマが可能にすること
展示会での実演を通じて、プラスチック業界におけるプラズマ技術の特長と利点を紹介します。自動化により工程を効率化し、化学プライマーや火炎処理といった環境負荷の高い従来法を不要にします。さらに、プラズマは熱の影響を抑えることで樹脂などの繊細な素材を保護し、部品の損傷を防ぎます。また、Openair-Plasma®により、低コストの非極性樹脂や従来は組み合わせが難しかった素材も、安全かつ効率的に利用できるようになります。
プラズマトリートは、2025年10月8日 (水) ~15日 (水) に開催される K 2025 (ホール11・ブースI65) に出展します。
皆さまのご来場を心よりお待ちしております。
詳しくは、下記特設ページ (英語) をご覧ください。